G10
ハウジング(CWOM-SH2)とカメラ本体

OLYMPUS STYLUS SH-1による水中撮影のレポートです。

SH-1は24倍の高倍率ズームを持ちながらも、本体はコンパクトなサイズとなっているのが特徴です。陸上では高倍率ズームのカメラで遠くのものを撮影することが可能ですが、水中では透明度の関係で遠くのものをキレイに撮影することは難しく、あまり高倍率ズームのカメラのメリットはありません。このため、最近では高倍率ズームのカメラで純正ハウジングが用意されているものはほとんど無くなってしまいました。

しかしながら、このSH-1は24倍ズームの状態で被写体に40cmの距離まで近づいて撮影することができるため(テレマクロ機能)、あまり近寄ることが出来ない小さな魚、例えばハゼなどの撮影には最適だと思われます。
※ウミウシなど近づくことができる生き物の場合には、通常のカメラでもマクロモードであれば1~3cmぐらいの距離で撮影できるので、このようなカメラは必要ないと思います。

ハウジングはRecsea製のCWOM-SH2を購入しました。価格は65,000円(税抜)です。オリンパスはToughシリーズで水中撮影用のカメラをいくつか揃えていますが、このSH-1には純正ハウジングは用意されていません。

なおSH-1には後継機としてSH-2が2015年4月から発売されています。Recsea製のハウジング(CWOM-SH2)はSH-1/SH-2のどちらにも使用できます。SH-2はRAW保存などに対応していますが、光学系などはSH-1と同じです。私は価格の安くなったSH-1を購入しました。

SH-1の基本機能

SH-1は2014年の4月から発売されました。撮像素子は1/2.3型のCMOSで、一般的なコンパクトデジカメで使われているサイズと同じです。レンズは24倍ズームで、焦点距離は25mm~600mm(35mm換算)、明るさはF3.0~F6.9です。画素数は1600万画素となっています。

5軸手ブレ補正やWiFiなど機能は豊富ですが、フラグシップというわけではないので、撮影に関する機能についてはオート中心で、マニュアル設定はあまり充実していません。例えば露出モードはPモードとMモードはありますが、AモードやSモードはありません。またRAW記録には対応していません(SH-2はRAW記録に対応)。

SH-1の特徴であるテレマクロ機能について少し実験してみました。ズーム倍率を少しずつ変えて、どのくらいまで近づいて撮影できるのかを試してみます。水中での撮影を前提にしているのでハウジングに入れて実験しました。ピントは画面中央のシングルポイントモードにしてあります。


500円玉よりも少し大きいサイズの被写体を撮影してみます

実験の様子

AFが合焦する一番近い場所を調べた結果が以下の表になります。

ズーム倍率が最大(右端)の状態だと40cm以下まで近づいて撮影できるのですが、少しズーム倍率を落とすと、かえって遠くからではないとピントが合わないようになっています。通常のカメラの場合、ズームしてピントが合わない場合には、ズーム倍率を下げるとピントが合ったりするのですが、SH-1の場合には24倍固定で少し遠くから撮影するようにしたほうが良さそうです。

実際のところ、どのくらい画面一杯に写せるかというと以下のようになります。


24倍(600mm)

5.5倍(139mm)

1.9倍(49mm)

マクロモード時(66mm)

SH-1にもマクロモードが用意されています。シーンモード内にあるスーパーマクロにすると、ズーム位置は2.6倍(66mm)に固定され、最も近くまで寄れるようになります。カメラの仕様では3cmまで近づけることになっていますが、ハウジングに入れた状態で試してみたところ、ハウジングのレンズのすぐ前まで近づけてもAFが合焦しました。

撮影した画像を見てみると、40cm離れたところから撮影した写真がもっとも大きく写すことができています。さすがテレマクロ機能ですね。40cm離れたところから撮影しても、マクロモードで最接近したよりも画面一杯に写すことができるということで最強のように感じますが、実際には

・ピントを合わせるのが難しい(AFが合焦したりしなかったりします)
・手ブレしやすい。手ぶれ補正が付いているとはいえ、慎重にシャッターを切る必要があります。
・レンズのF値が6.9まで落ちてしまうために、ISO感度が上がってしまうか、シャッター速度が落ちてしまう。

といろいろな制限があって使いこなすのは難しいです。

近づけるときにはマクロ機能を使って、それ以外ではテレマクロを使うというのが良さそうです。SH-1はシーンモードをスーパマクロにしておけば、モードダイアルで切り替えができるので水中では使い分けし易いです。ただしスーパマクロではフラッシュがAUTO固定となる(強制発光にできない)ので注意が必要です。
※AFモードでマクロと通常を切り替えるタイプのカメラの場合には、切り替えるのにボタンを数回押す必要があったりします。

AFの速度についても調べてみました。遠方にピントを合わせておいて、手前にある被写体に向けて半押しシャッターにしてAF合焦の表示がでるまでの時間をストップウオッチで計測してみました。

AFの合焦速度
ワイド端( 距離約30cm) 約0.3秒
テレ端( 距離約50cm) 約0.8~0.9秒

感覚的にはワイド端では、ほとんど瞬時にAFが合う感じでした。上記の表の約0.3秒というのは私のストップウォッチを押すまでのタイムラグに近いと思います。

次にシャッターボタン全押しをして撮影できるまでのタイムラグを測って見ることにしました。パソコンの画面にストップウォッチを表示して、カメラの背面液晶の表示が10秒単位の表示になったところでシャッター全押しをして撮影された画像でタイミングをチェックしました。水中を想定してすべてフラッシュはONです。SH-1はシャッター半押ししなくても常時AFが動作するため、AFの時間は含まれていません。

シャッター全押しして撮影されるまでのタイムラグ
ワイド端 約0.7~0.8秒
テレ端 約0.8~0.9秒

※ちなみに上記の数値には、カメラの背面液晶に表示されるまでに0.14秒程度のタイムラグが含まれています。

水中撮影ではフラッシュを使用しての撮影が基本となると思います。一回撮影して、さらに次に撮影しようとしたときに、フラッシュのチャージの時間がかかってしまうと、なかなかシャッターが降りず、シャッターチャンスを逃すことがあります。SH-1で連続してシャッターを押して、どのくらいの間隔で撮影できるのかを計測してみました。

単写の撮影間隔(フラッシュ強制発光、ISO125固定)

ワイド端 約1.8~2.0秒
テレ端 約5秒

テレ端で撮影間隔が長くなっているのは、テレ端ではレンズが暗くなるため、その分フラッシュの発光量が多くなり、チャージに時間がかかるようになるためと思われます(数秒間フラッシュアイコンが点滅していました)。

どうやらフラッシュの発光量が多くなってしまうと、再チャージにとても時間がかかってしまうようです。

電池の持ちについては60分のダイビング二本中に60枚ほど撮影して電池の残りが3→1に減る感じでした。3→2には早い段階で減るのですが、2→1へはなかなか減らないように思います。撮影枚数にも寄りますが、三本ぐらいはぎりぎり持ちそうです。それ以上潜る場合にはスペア電池を用意しておいたほうがいいかもしれません。