NEX-5
NEX-5 ダブルレンズキット

Sony NEX-5による水中撮影のレポートです。

NEX-5はいわゆる一眼レフと同じサイズの撮像素子を使ったコンパクトなレンズ交換式のカメラです。ミラーレスカメラの一つで、他にオリンパスやパナソニックがリリースしているフォーサーズカメラやニコンがリリースしているNikon 1シリーズもあります。NEX-5はフォーサーズやNikon 1よりも大きな撮像素子を使用しているのが特徴です。

NEX-5そのもののレポートは、他のHPにもたくさんあると思いますので、ここではハウジングを中心にNEX-5の水中撮影についてのレポートをしたいと思います。

NEX-5の基本仕様

NEX-5は2010年の6月から発売されました。撮像素子はAPS-C型のCMOSで画素数は1420万画素です。いわゆる一眼レフと同じサイズです。ダブルレンズキットのレンズは16mm(35mm換算:24mm) F2.8と18mm~55mm(35mm換算:27mm~82mm) F3.5~F5.6です。

ミラーレスカメラの一つで、一眼レフと同じサイズの撮像素子を使いながらも、とてもコンパクトなのが特徴です。

ハウジングについて

NEX-5用のハウジングは数社(シーツール、ノーティカムとアクアパッツアなど)からリリースされています。純正ハウジングではないので、値段がかなり高くなるのが難点ですが、いずれもアルミ製でかなり丈夫にできています。

店頭で試した限りではノーティカムの方が操作しやすそうでしたが(特に再生ボタンと録画ボタン)、シーツール製の方が少し小さいことと、値段が1万円ぐらい安いことから、私はシーツール製(ブランド名はレクシー)を購入しました。最初はコンパクト優先で16mm用のポートを購入しました。


16mm用のポートを取り付けた場合、
コンパクトデジカメのG10と同じような大きさです

NEX-5 16mm+シーツール製のハウジングだと、約1.1kgです。

ストロボはG10用にすでに購入していたINONのS-2000はじめるパックを使用しています。はじめるパックのグリップベースD4は、シーツール製のハウジングのネジの間隔と一致しないため、取り付けは一箇所のみになってしまい安定しません。購入先のアンサーでベースに穴をあけてもらったのですが、グリップと本体が離れてしまうため、ネジは一箇所でとめて、もう一方は紐で固定することにしました。多少ぐらつきますがなんとか使えています。

その後18-55mm用の標準ポートも追加購入しました。さすがにだいぶ大きくなってきてしまいますが、それでも一眼レフのシステムよりはずっとコンパクトです。


18-55mm用の標準ポート+INON S-2000はじめるパック
右側のG10と比べても、ちょっと大きいぐらいです。

18-55mm用の標準ポート+INON S-2000はじめるパック
でカメラ(電池込み)を含めて、合計で約2.2kgです
水中での操作について

NEX-5は一眼レフ並みの撮像素子を使っていますが、設定の変更をする際の操作性は一眼レフ並みとはいかず、あまりよくありません。なにしろボタン3つ+ダイアル1つしかありませんからね。コンパクトデジカメのG10の方が断然いいぐらいです。発売後のファームアップで、ボタンのカスタマイズが可能となったため、私はISO感度の変更をボタンに割り当てています。それでもボタンを押して→ダイアルでISO感度調整と2ステップかかるだけに水中では設定の切替はほとんど行っていません。せっかく高感度性能がいいのですから、ISO感度を上げて撮影したいところなのですが...かといってISO感度を固定してしまうと、必要なときに自動で上がってくれない場合もでてきてしまいます。ニコンの一眼レフのように最低ISO感度を設定できると便利なのですが...またPモードでプログラムシフトができないのも??だったりします。逆にAUTOモードでは背景ボケコントロールでプログラムシフトができるのですが、これがまたAUTOモードだと固定される設定が多くて...このような細やかなコントロールが素早くできないところがちょっと残念ですが、 かえって潔く設定を固定にして撮影した方が集中できていいのかもしれません。

NEX-5は起動に少し時間がかかりますが(約1.5秒)、電源をONにして構えるようにすれば、特にシャッターチャンスを逃すようなことはありませんでした。AF速度も十分で、16mmで撮影した限りでは、ほとんど瞬間的にピントが合います。ただ半押しの間隔が非常につかみづらく、半押しをする感覚でちょっと押しただけでシャッターが切れてしまいます。このあたりは慣れが必要かもしれません。

2本のダイビング(50分程度)を電源ONのままで使ってバッテリー残量は33%ぐらいになりました。3本でギリギリぐらいです。こまめに電源をON/OFFすればもっと持つと思います。私たちはとっさに魚が現れたときなどにシャッターチャンスを逃さないようにするため、常時ONにしていますが、このような使い方だと、あまり電池に余裕はないようです。

AFについて

18-55mmを使って神子元でハンマーヘッドシャークの撮影を試してみましたが、AFがほとんど合いませんでした。あまり近寄れなかったために、ズームを使って拡大して撮影しようとしたのですが、このようなコントラストが低い場面ではAFが効かないようです。もともと無理があるシチュエーションなのですが、それでもコンパクトデジカメよりもAFが合いにくい印象でした。また55mm端でハゼなどを撮影しようとしたときも、AFの合焦マークは表示されるのですが、あとでみるとピントがあっていないことが多々ありました。AFの動作はなかなか速いのですが、精度が低いような気がします。撮像素子が大きいだけにボケ味を出しやすい代わりにピントも外れやすいというのもあるかもしれません。

16mm F2.8ではAFが合わない場面はなく、AF動作も速くて快適に撮影できました。

作例

16mm 1/100 F9 ISO200 S-2000
撮影地:マラパスカ(フィリピン)

コンパクトデジカメのG10だと100%表示すると、細かいところがノイズリダクションのために塗り絵のようになってしまいますが、NEX-5の場合には、ちゃんと撮影されています。

ストロボが一灯なので、どうしても光のあたりぐあいが偏ってしまいますね。


16mm 1/80 F4.5 ISO200 ストロボなし
撮影地:マラパスカ(フィリピン)

体色がきれいなイトヒキアジです。ここのポイントはストロボは禁止なので、ストロボなしでの撮影です。G10と比較すると、デフォルトではコントラストが強めのようです。


16mm 1/100 F20 ISO200 ストロボなし
撮影地:マラパスカ(フィリピン)

シャッター速度優先で撮影しているので、絞りがF20になっています。太陽をバックにした撮影ですが、なんとか撮影できています。


16mm 1/125 F7.1 ISO200 S-2000
撮影地:セブ(フィリピン)

セブのマクタン島にあるシャングリラでのシュノーケリングで撮影したヒメツバメウオの群れです。


18-55mm 1/125 F11 ISO800 S-2000
撮影地:初島(伊豆)

標準レンズ(18-55)のワイド端(18mm)での撮影です。35mm換算では27mmとなります。


18-55mm 1/125 F6.3 ISO200 S-2000
撮影地:初島(伊豆)

標準レンズ(18-55)のテレ端(55mm)での撮影です。35mm換算では82mmとなります。

中心部分を拡大してみました。顔の部分にはピントが合っていますが、体の中ほどから後ろはボケています。

NEX-5などの撮像素子の大きいカメラは、ボケ味を出しやすいのが売りになっていますが、そのかわりズームアップしたときなどはピントあわせがかなりシビアになります。

この写真ではうまくいきましたが、実際には頭から少しずれたところにピントが合ってしまうことが多々あり、ズームをしてピントを合わせるのはなかなか難しいです。


16mm+ワイコン 1/80 F8 ISO200 S-2000
撮影地:バア環礁(モルジブ)

16mm+ワイドコンバーター(VCL-ECU1)の写真です。35mm換算で18mm相当の写真になります。18mmとなってくると、撮影できるシーンが限られてきますが、モルジブなどで見られる魚の群れを撮影するにはいいですね。

ワイドの場合には、被写界深度も深いので、ピントも問題なく合ってくれます。