サメは、危険な水中の生き物としてよく知られていますが、ダイビングではとても人気のある魚です。サメといっても、小さなものから大きなものまでいろいろな種類のものがいます。またサメは魚の一種ですが、いろいろな点で魚とは違う特徴を持っています。これまでに撮影したサメの写真を使って、魚図鑑の別館としてサメ専用の図鑑を作ってみました。

サメの分類

サメというと、2mぐらいの灰色で口が大きいタイプをイメージすると思いますが、実際には小さなものや、平べったくてエイみたいなもの、口は大きくてもプランクトンしか食べないおとなしいものなどいろいろな種類がいます。まず大きな分類として、目(もく)で言っても9つにもまたがっています。

特徴 代表的な種
ネコザメ目

ネコザメ目はネコザメ科の1科のみです。

ほとんどは体長1mぐらいの小さなサメで、ダイビングで代表的なのはネコザメです。日本でもダイビングで普通にみることができます。海底や岩の陰でじっとしていることが多いです。


ネコザメ(ネコザメ科)
テンジクザメ目

テンジクザメ目は7科あります。体長2mぐらいで海底や岩の陰でじっとしているサメが多く含まれています。

ただし、ジンベエザメだけは別で体長は10m近くまで成長します。ジンベエザメは泳いでいるところしか見たことがありません。


アラフラオオセ(オオセ科)


トラフザメ(トラフザメ科)


オオテンジクザメ
(コモリザメ科)


ジンベエザメ
(ジンベエザメ科)

ネズミザメ目

ネズミザメ目は7科あります。

いろいろなサメが集まっている目です。メジロザメ目と同じように、サメらしいサメの集まりですが、メジロザメ目にあてはまらない特徴的なサメが集まっているといった感じでしょうか?

ここには有名なホホジロザメが含まれています。ダイバーに人気のニタリもこのグループです。


シロワニ(オオワニザメ科)


ニタリ(オナガザメ科)

メジロザメ目

メジロザメ目は8科あります。

私達がイメージするサメらしいサメが集まっている目です。特にメジロザメ科はダイビングでよく見かけるサメ達が多いです。

ダイバーに超人気のハンマーヘッドシャークも、このグループです。


オグロメジロザメ
(メジロザメ科)


アカシュモクザメ
(シュモクザメ科)


ドチザメ(ドチザメ科)

カグラザメ目

カグラザメ目は2科あります。

原始的なタイプのサメのグループで、細長い体をしています。ダイビングで見かけることは稀です。

このタイプのものは、みかけたことがありません。
キクザメ目

キクザメ目は1科のみです。

深海で見られるサメのようで、ダイビングで見かけることは稀です。

ツノザメ目

ツノザメ目は6科あります。

深海で見られるサメのようで、ダイビングで見かけることは稀です。

カスザメ目

カスザメ目は1科のみです。

エイのように平べったい体をしていて、海底にいることを見かけることが多いです。


カスザメ(カスザメ科)
ノコギリザメ目

ノコギリザメ目は1科のみです。

口が尖っていて、のこぎりのようにギザギザになっているのが特徴です。

このタイプのものは、みかけたことがありません。
サメの危険度

ダイバーではない人からの最も多い質問は、おそらく「サメに襲われないの?」だと思います。その場合のダイバーからの答えは、「襲うどころか近づくと逃げていってしまうよ」なのではないでしょうか?

ダイビングで良く見かけるサメといえばネムリブカオグロメジロザメなのですが、どちらも写真を撮影しようと近づくと逃げていってしまいます。さらにニタリアカシュモクザメなどに至っては、ダイバーを見かけると逃げていってしまうので、近づくことすらかなり難しいです。意外と警戒心が高いのですね。

アカシュモクザメについては、日本では沿岸で発見されると、近くの海水浴場が閉鎖されることがあります。ところがダイバーは逆で、ダイビングポイントでアカシュモクザメが多数発見される時期になると、ハンマー祭りとなってたくさんのダイバーが潜るようになります。
※もちろん、海水浴とダイビングでは危険度がかなり違います。

Shark1
突っ込んでくるサメ。
ビビってブレブレの映像になってしまいました。

ただしシャークフィーディングで餌を食べている時には、凶暴になっていることがあって注意が必要です。一度だけダイバーの方に突っ込んできたことがありました。直前で方向を変えて通り過ぎて行きましたが、さすがにビビりました。

サメといっても、いろいろな種類があるわけですが、中にはとても危険なものもいます。おそらく最も有名な危険なサメといえばホホジロザメだと思います。日本でも目撃例がありますが、ダイビングで出会うことはまずない超レアなサメです。私もこれまでにみたことがありません。3大危険なサメとしては、他にイタチザメとオオメジロザメがいるのですが、こちらもかなりレアなサメで通常のダイビングではなかなか見られません。何回か見かけたことがありますが、どちらも撮影しようとしたところ逃げていってしまいました。

ダイビングでの死亡原因の1位は「ダイバー自身が溺れる」ことであってサメが原因のものはほとんど無いようです(参考サイトOcean+α)。海で危険な生物という意味では、サメなどよりもオニダルマオコゼなど毒を持っている魚の方が注意が必要です。ただこちらも襲ってはきません。危険な魚については、ダイビング・シュノーケリングで危険な魚達を参考にしてみてください。

Shark2
サメに体をこすりつけるツムブリ
こんなことをしていて襲われないのでしょうか?

ダイバーにとっては、襲われることがないサメでも、魚にとっては危険この上ない存在のはずなのですが、ダイビング中に、ギンガメアジツムブリがサメをみかけるやいなや体をこすりつけに近づいていくところを何度か見かけたことがあります。こんなことをして襲われないんだろうか?と思いましたが、サメはそのまま泳いでいきました。おそらくサメの皮が、体の寄生虫などをとるのにちょうどいい感じなんだろうと思いますが、サメも魚にとって怖いだけの存在というわけではないようです。

サメの特徴

サメと他の魚の違いはいろいろとあるのですが、まずは軟骨で構成されている点が上げられます。普通の魚は硬い骨を持っています。硬い骨がないということは、進化上劣っているのかも?と思ってしまうのですが、水中では硬い骨でなくても体を支えることが出来るので、かえって軟骨の方が軽くて効率が良いのだとか。他にはエイも軟骨です。

Shark3
ジンベエザメの巨大なエラ。 5箇所あります

魚類といえばエラを持っているのが特徴ですが、サメはそのエラが体の側面にたくさんあります。通常の魚は左右に一対ずつです。ちなみにエイはエラが体の下にあって、サメとの区別に使われます。

魚類は卵を産んで繁殖すると教科書で習ったと思うのですが、サメについては卵から生まれるといっても、シロワニのように母親の腹の中で生まれ、そのままある程度の大きさまで育つサメがいます。中には胎盤をもっているサメもいて、魚類といっても相当に進化しています。

通常の魚もサメもどちらもヒレがありますが、通常の魚のヒレは棘があってその間は薄い膜になっているのですが、サメのヒレは肉質で厚くなっています。

Shark4
通常の魚のヒレです。
開いたり閉じたり、いろいろな動きが可能です。
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サメのヒレです。
飛行機の翼のようです。

サメじゃない魚の中にサメという名前を持つものがいます。代表的なのがコバンザメですが、もちろんサメではありません。他にはサカタザメなどの一部のエイの仲間がサメという名前を持っています。

ちなみにイルカ、シャチやクジラはサメとは別の生物です。イルカやクジラは、サメのような魚類ではなくて、人間と同じ哺乳類です。サメは魚類なので水中で呼吸できるエラを持っていますが、イルカなどはエラがなく肺呼吸です。このため水面で呼吸するための穴が背中についています。

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サメにはエラがあるので水中で呼吸できます。
イルカやクジラは水面にでて息継ぎをする必要があります。
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尾ビレが異なっています
人気のサメ

サメはダイバーにとっては大物の魚で、いずれも人気があります。ここではその中でも特に人気なサメを紹介します。水中でみかけたら、大喜びのサメ達です。

ジンベエザメ

ダイバー人気ナンバー1のサメです。最大で15mにもなる魚類最大の魚でもあります。体は大きくてもプランクトンしか食べないおとなしいサメです。

最近では集まる場所が分かってきて、かなり高い確率で見られるようになってきました。ボートで探して、見つかったらシュノーケリングで見ることが多いです。

モルジブ、カンクン(メキシコ)、ラパス(メキシコ)、ガラパゴス、エクスマス(オーストラリア)などが有名です。

アカシュモクザメ

こちらも人気ナンバー1のサメで、ダイバーからはハンマーヘッドシャークと呼ばれています。

群れを作って移動することが多く、数+匹のハンマーヘッドシャークの群れが移動しているところは、ハンマーリバーと呼ばれダイバーにとって最高のシーンです。

ガラパゴスやココ島が有名ですが、伊豆の神子元や沖縄の与那国でも群れが見られます。

ニタリ

尾がとても長いサメで、ダイバーに人気があります。

見られる場所がとても限られていて、フィリピンのマラパスカが有名です。

よく見かけるサメ

ダイビングなどで良く見かけけるサメです。よく見かけるだけに人気という点では、あまり高くありませんが、それでも多くのダイバーが写真を撮ります。

ネムリブカ

ダイビングでいろいろなところで見かけるサメです。最も普通に見かけるサメです。

ダイビング中は、海底で寝ているところを見かけることが多いです。近づいて写真を撮ろうとすると逃げいていきます。

おとなしそうに見えますが、ナイトダイビングでは獰猛なシーンを見ることが出来ます。穴などに頭を入れて、魚を食べようとしているところを見たことが有ります。

オグロメジロザメ

ダイビングで見かけるサメらしいサメといえば、このオグロメジロザメです。ダイバーの間では、英名のグレーリーフシャークとも呼ばれます。

中層を泳いでいるところを見かけることが多いです。

写真を撮ろうと近づくと、逃げてしまいます。

ツマグロ

浅瀬にいることが多く、ダイビングで見かけることは少ないです。ビーチを歩いているときに浅瀬で見かけることが多いです。シュノーケリングで見かけたことがありますが、警戒心は高めですぐに逃げていってしまいます。

最大でも2m程度にしかならない、小型のサメです。

トラフザメ

海底で寝ているところを何度かみかけたことがあります。寝ているときには、かなり近づくことが出来ます。

モルジブ、シパタン(マレーシア)などで見かけました。

サメらしいサメ

上の「人気のサメ」と「よく見かけるサメ」以外の、サメらしいサメです。ネズミザメ目とメジロザメ目のサメが、らしいサメといえると思います。

シロワニ

サメらしい見るからに恐ろしい歯を持っています。

見た目は恐ろしいのですが、ダイバーに対して襲ってくることもなく、普通に写真を撮影することが出来ます。穴の中でじっとしていることが多いです。

小笠原で見られることが知られています。他のダイビングポイントでは見かけたことがありません。

ツマジロ

オグロメジロザメよりも一回りぐらい大きなサメです。

タヒチのランギロアでよく見られますが、その他ではあまり見かけたことがありません。

オオメジロザメ

こちらもオグロメジロザメよりも一回りぐらい大きなサメです。3大危険なサメの一つです。

パラオのペリリュー島でのイレズミフエダイバラフエダイの産卵中に現れることが知られていますが、すぐに逃げてしまうので近づくのは困難です。カリブ海のカンクンでも見られるようです。その他では見たことがありません。

カマストガリザメ

オグロメジロザメと同じぐらいの大きさです。

パラオのペリリュー島や、ガラパゴスで見かけたことがあるぐらいで、レアなサメです。

クロトガリザメ

シルキーシャークとも呼ばれています。

ガラパゴスとタヒチ・ランギロアでのシャークフィーディングでしか見かけたことがありません。

ガラパゴスザメ

ガラパゴスと名前が付いていますが、固有種ではないようです。

ただダイビングではガラパゴスでしか見かけたことがありません。

ちょっとかわいいサメ

怖いイメージのあるサメですが、ここでは正反対のちょっとかわいいサメです。あくまでもサメの中ではかわいいということで。

ネコザメ

「ネコ」とかわいい名前が付いています。

ダイビングでは岩の上などにじっとしていることが多いです。伊豆では普通に見られます。

ラジャエポーレットシャーク

歩くサメとして有名です。

見られるのはラジャアンパット(インドネシア)でのナイトダイブだけです。

平べったいサメ

エイのように平べったいサメです。ほとんどサメという感じがしないのですが、それでもれっきとしたサメなのです。目の前で手を振ると、ガブッと噛まれることがあります。
※ここでは、私が撮影したことがあるサメだけがリストアップされています。他にも平べったいサメがいます。

カスザメ

通常は砂に潜っています。まさにエイですね。

伊豆の初島で撮影しました。南国ではみかけません。

アラフラオオセ

岩陰などに隠れていることが多いです。

ラジャアンパット(インドネシア)では、よく見かけることが出来ますが、他の場所では見たことがありません。

オオセ 岩陰などで寝ています。どちらも寝ているのか、近づいても全く動きませんでした。
クモハダオオセ
その他のサメ

その他にもいろいろなサメがいます
※ここでは、私が撮影したことがあるサメだけがリストアップされています。他にもいろいろなサメがいます。

ドチザメ

穴の中にいることが多いです。

日本近海で見られます。

オオテンジクザメ 海底で寝ていることが多いです。